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ネコちゃんに多い病気「下部尿路疾患」

ネコちゃんは、泌尿器関連の病気にかかりやすいという傾向があります。
さまざまな原因で、さまざま病気に起こる可能性があるということを事前に理解し、知識を持っておくことで、ネコちゃんの些細な変化にもいち早く気付けるでしょう。
小さな違和感を見逃さず早期治療に繋げていくことが、ネコちゃんの健康維持につながります。
下部尿路疾患とは?
下部尿路疾患は、膀胱や尿道に関連する病気や症状の総称のことです。
これらの疾患は、さまざまな原因によって引き起こされます。
また、下部尿路疾患は病気の種類によっては排尿困難や血尿、頻尿、痛みを伴う症状など、様々な症状がみられるため、ネコに強いストレスを与える可能性があります。
どんな病気であっても、まずは飼い主さんが異変を察知し、クリニックに相談することが大切です。
下部尿路疾患の種類
ネコの下部尿路疾患には、以下のような種類があります。
尿路結石症(尿石症)
腎臓、尿管、膀胱、尿道など尿路と呼ばれる部位に結石ができる病気で、膀胱炎や尿路閉塞の原因となります。
比較的若いネコちゃんにも発症しやすいという特徴があり、頻繁にトイレに行ったり、ほとんど排尿しなくなったり、ケースによっては血尿が起こることもあります。
膀胱炎
膀胱炎は、膀胱の粘膜で炎症が起こっている状態で、頻繁にトイレに行くのにほとんど排尿をしないという仕草が多くなります。
猫では、検査ではっきりとした原因が分からない特発性膀胱炎が多くみられます。
この場合、一週間程度で自然に治癒することがほとんどですが、一度膀胱炎になると再発しやすくなるため、リスクとなる因子がないか獣医師と話し合いしっかり治療を行うことが将来的な健康の維持につながります。
下部尿路疾患の原因
ネコの下部尿路疾患の原因は一つではありません。
さまざまな要因が重なって起こる病気であり、例えばストレスのかかる状態が続いたり、生活習慣や食生活がよくなかったりすることが考えられます。
ストレスになるのは辛い環境だけではなく、環境自体の変化、家族が増えたり減ったりという生活の変化、トイレの清潔さ、他のネコちゃんとの関係など、いろいろな要素が考えられます。
下部尿路疾患の症状
ネコちゃんの下部尿路疾患の症状は多岐にわたりますが、わかりやすいものでは以下のような症状が挙げられます。
下部尿路感染症でよく見られる症例の一例
- 頻繁にトイレに行くようになった
- トイレの回数に比べて、尿の量が少ない
- 血尿が出ている
- 排尿時に痛みを感じている様子で、トイレの中で鳴くことが増えた
- 尿が濁っている
- トイレが使えるネコちゃんが、トイレ以外の場所で排尿するようになる
など
特に、尿路が詰まってしまう病気では、排尿が困難になることがあります。
悪化して尿道が完全に閉塞してしまうと命に関わる状態になってしまうこともあるため、異常を感じたらすぐに診察を受けるようにしましょう。
下部尿路疾患の診断方法
下部尿路疾患の可能性があるネコちゃんは、尿検査や血液検査、レントゲンなどの方法を用いて詳しい検査を行います。
問診、身体検査
まずは問診で、飼い主さんからネコちゃんの症状や変化についてお話を伺います。
生活環境に変化がないか、水分摂取ができているかなども詳しくヒアリングして、さまざまな可能性を模索します。
その後、身体検査を通じてネコちゃんの健康状態を確認し、腹部や膀胱の触診によって気になる病変がないかを診断していきます。
尿検査
尿検査では、尿に血液や結晶が混じっていないか、細菌が増えていないかを確認することができます。
他にも、尿の比重(濃さ)やpHが診断の手がかりとなることがあります。
血液検査
血液検査を行うことで、腎機能の状態や感染症の有無、ネコちゃんの全身の状態を評価します。
X線や超音波検査
X線撮影や超音波検査を行うことで、結石の検出や腎臓・膀胱の異常を検出できます。
下部尿路疾患の治療
治療方法は、原因や症状、症状の重さによって異なりますが、主に以下のような治療方法があります。
食事療法
結石がある場合は、療法食を用いて結晶や結石の形成を防ぎます。
療法食の中には、ストレスを軽減させる成分が含まれているものもあります。
また、水分摂取を増やすために、ウェットフードを用いることも治療効果があります。
薬物療法
感染症が疑われる場合には、抗生物質を投与して治療を進めていきます。
また、膀胱炎など痛みを伴う場合には、苦痛を和らげるために抗炎症薬や鎮痛薬を使用することもあります。
外科療法

尿道閉塞がある場合には、手術によって詰まった結石を除去することが必要となります。